Vol. 10

ハイドン/交響曲第91番・第92番(指揮コリン・デイヴィス:アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団)

“ジャケ買い”という言葉があります。レコードやCDの内容がわからないまま、そのジャケットのデザインに惹かれて買うことをいいます。そして、ジャケットの良いディスクは、だいたい内容もいいものです。

そこで今回は、クラシックCDのなかでも、私がジャケットも曲も演奏も好きだとおもう1枚をご紹介します。

 

「交響曲の父」と呼ばれるハイドンは、生涯に104もの交響曲を書きました。ということで、この第91番と第92番(オックスフォード)は晩年に近い作品です。いかにもハイドンらしく、典雅で流麗で、ほどよい軽妙さを感じさせる曲といえましょう。

 

交響曲(シンフォニー)という言葉は、「完全なる協和の響き」というギリシャ語に由来します。17世紀末にイタリアやドイツに登場した3楽章形式の曲、ディヴェルティメントやシンフォニアなどから発展し、18世紀後半にハイドンが4楽章の形式をとって完成させました。それを発展させ、完成度を高めたのが彼の年若い友人モーツァルトであり、弟子のベートーヴェンです。

しかし、ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェンという偉大なる音楽家が同時代のヨーロッパに登場し、出会い、互いに影響を受けあっていたというのは驚きです。天才というのは一挙にかたまって出てくるという説がありますが、それにしてもです。

 

ともあれ、美しい泰西名画のジャケットを眺めながら、この地球内部から清水のように湧き出てくる音の奔流に身をまかせるというのはいいものです。

私の場合は、ハイドン特有の楽天的といってもいいほどの大らかさと心地よい音のハーモニーが活力とビタミンになるので、朝に聴くことが多いのですが。

 

2011.8.2

 

*国内盤は廃盤で、輸入版のみ。同じ曲では、こちらが入手可能。