8月の、オトナのヴァカンス
あまり通行量の多くない高速道路の小さなサービスエリアに入った。
看板に「ドライバーのオアシス」と書いてある。サービスエリアばやりのこの時代に、なんとも昔々のドライブインのような空気がただよう。さびれた感さえある場所だ。オアシス…。
早朝の出発でとりそこねた朝食をと、立ちよった。
簡単なサンドイッチとコーヒーを注文しにレジにならぶと、「どうぞ、ごゆっくりお休みください!」「良いご旅行を!」と、レジ譲が素朴な笑顔と言葉をかけてくれた。運転の緊張がカラダの芯からほぐれていく。看板の言葉に嘘はなかった。彼女こそがまぎれもないオアシス!幸先の良い旅のはじまりだ。
若い頃は、日程を目いっぱいのアトラクションポイントでうめるアクティブな旅を好んだりしたけれど、愉しみ方は大きく変わった。目的地だけ決めて、その道程は地図を眺めてナビと相談。立ちよった場所が気に入ったのであれば、時間のゆるすだけそこでゆっくりすればいい。
偶然にも、行きそびれていた写真展に地方の美術館で出会ったり。
観たい夕陽のために、海岸で波音をききながら1・2時間たたずんだり。
シャッターを切りすぎてSDカードを買いたしによったカメラ屋さんで、地元の人だけが知る美味しいもの情報を手に入れて、少しばかりUターンしたって気にしない。
ガイドブックなんかもたずに出かける自分だけの旅のスタイルは、経験値によるカンの働きがモノをいう。そろそろ滞在先へ到着だ。
さあ、8月の扉をあけて、オトナのヴァカンスのはじまりだ。こころとカラダのために 、リラックスとヒーリングな時間を過ごそう。自由な時間に乾杯。
2015.8.5