女性ホルモンが下がると骨密度も下がる!

最近、買い物などでご近所を歩いていると、イヤでも気になってしまうことがあります。杖をついているおばあちゃん、押し車を押しているおばあちゃんをやたらと眼にします。見かけるでしょう、みなさん? 腰が曲がっているのは、おばあちゃんばかり。おじいちゃんは少ないですね。そういえば、こんな光景を子供時代にもやたらと見かけた記憶があります。でも、それから何十年たっていると思いますか? 40年以上経つんですよ。

 

戦前戦後を生き抜いた昔の主婦には、洗濯機も、掃除機も縁のないものでしたから、すべての家事労働は彼女たちの肩に背骨にかかっていたのです。だから昭和40年代の初めころに、腰が曲がっているおばあちゃんがたくさんいても、今までからだを酷使した人生を送ってきたんだな~と子供ながらに腑に落ちました。

 

しかしです。いま2010年に70代の女性は、彼女たちが30代のまだ女ざかりといえる時代に、すでに冷蔵庫も、洗濯機も、掃除機だってあったはずです。なのに、どうして、腰が曲がっているおばあちゃんは減ってないの? こんなに栄養も電化製品も豊富な時代を生き抜いてきた彼女たちに、なぜ、背骨が曲がる(骨租鬆症)を回避できなかったのか? これって、医療現場の怠慢というか、男性中心の医療視点というか~へんです。

 

70歳を過ぎて生きていることは、それそのモノが、もう、おつり的な感じ? シワくちゃになっても、腰が曲がっても、もう老人なんだから仕方ない、生きているだけでありがたいでしょう? 的な感じなのでしょうか。こんな、医療者の愛のない対処に甘んじていては、いけない、絶対に。

 

そこで、一般の中高年女性が、どれだけの情報をもっているのかを確かめたくて母や叔母にも訊いてみました。「ねぇ、更年期を迎えたら、骨が弱くなり、骨密度が一気に減るってこと知っていた?」と。母も叔母も、「え~、そうなの?」「なんだか、そんなこと、どこかで聞いた気もするけど~」「あ~、病院へ出掛けた時、先生が言ってたかも~」でした。具体的には、二人はまるでよく理解していません。

たぶん、今の60~70代女性の知識は、こんなものだと思います。最近こそ、TVや女性健康雑誌でも、「骨と女性ホルモンの関係」を紹介してくれるようになりましたが。でもね、女性ホルモンの減少は眼にみえません。閉経したからと言って、2~3カ月でいきなり骨の密度が減るわけでもありませんし。半信半疑なのですよね、結局は、ずっと。

 

 

そういえば最近、2~3歳年上の友人たちで、「膝が痛い」「背骨が痛い」と言いだしている人が増えました。彼女たちは、見事に50代後半です。整形外科に行ったら、「骨のクッションとなる軟骨が減ってきています」、「もうそういう年齢ですから、仕方ないですネ~」と言われてしまったとか。彼女たちの口からは、「これが老化なのね~」。あきらかに、何の疑問も感じていそうにありません。やはりここでも、彼女たちは更年期以降、一気に骨密度が下がることを実感として理解していないのです。

 

本来ならば、国が、40代から「女性ホルモンのチェックと骨密度のチェック」を定期健診に組み込んでくれるべきです。そしてホルモン減少にあわせて、骨密度アップのために、対処法を考えていける環境が必要です。遅くとも40代の半ばから、定期的に「骨密度チェック」を行っていくシステムがあれば、このように多くの「背骨彎曲おばあちゃん」をつくらなくてすんでいるはずなのです。

 

わたしが婦人科に行って「女性ホルモン」のチェックをした時も、健康診断を受けた時も、お医者さんは「骨密度」のことなんて、ちっとも突っ込んで触れてくれませんでした。このままでいくと、後30年たってもまだ、背中が曲がっているおばあちゃんは、少しも減っていないかもしれません。特に、今までスポーツをしてこなかった、太陽にあまりあたっていない、現在もあまり体を動かさない、乳製品が嫌い、魚介類が嫌い、などなどの女性で更年期の方は、すぐさま「骨密度のチェック」をするべきです。

 

そういう私も、実はまだ一度も「骨密度」を調べたことがありません。きちんとした設備の整った整形外科を、今探しています。気分はだんだん、医療現場に潜入する「ミシュラン調査員」のような気分になってきましたよ~

 

2010.9.27