更年期オンナは日陰モン?

少し前に新聞を読んでいたら、「漢方のツムラ」さんと朝日新聞さんが主宰する「更年期セミナー」の告知があった。抽選だったのでハガキで申し込んだ。2枚出して、1枚当選。 たいして更年期的自覚症状はないけれど、もともと漢方好きの私だから、ツムラさん主催は魅力的だ。 きっと、あれこれ「漢方ネタ」が仕入れられるに違いないと思い参加した。

 

場所は、新宿の厚生年金会館。開始ギリギリになって着き、会場内を見渡して驚いた。 たぶん、3000人くらいは入る会場が満席なのだ。さらに、どう見ても、全員が50歳前後の女性たちなのだ。

 

ほぼ全員が、ノートとペンを持っている。この熱気は?そこで私は知らされた。「更年期・メノポーズ」で悩んでいる女性が、実はこんなに沢山いるのだという現実を。 この日の内容は、婦人科の女医さんと心療内科の女医さんが、 さまざまな更年期症状の対症法をツムラさんの漢方の何番を飲んだらどう効くのかなどをスライドで示しながら話が進んでいくというシナリオだった。 うまいのよねぇ~。さすが商売上手のツムラさん。

 

それにしてもですね、井戸端会議が大好きな年齢の中年女性たちなのに、会場が水を打ったような静けさなのですね。 誰一人として私語をしない。みな真剣にメモをとっている。はっきり言って、不気味なほど。 それほど、あそこにいた私を含む女性たちにとって、「更年期」は他人ごとじゃないということなのですね。

 

それなのに、巷じゃ、だれも「更年期」の話なんてしていない。 私の友人たちも、飲みに行ったり食事に行ったりしてけっこうきわどい話をしているのに、誰一人、「わたしさ~、あがっちゃったのよ!」、 「更年期症状がきつくてさ~」なんて話す輩は一人もいないのだ。 そうこうしている内に通り過ぎると思って、タブーのベールを自分で着ちゃっているのよね。

 

それは、ちょっとおかしい。オンナとして生れたからには、全女性が、この女性ホルモンが消滅していく過程を経るんでしょうに。それなのに、まったく~。私は、会場で話を聞きながら、だんだん怒りの感情につつまれた。


だれが、こんな世の中をつくってるわけ? 男性社会だから? それとも、女性自らが勝手に「更年期」だからもうオンナじゃないっていうレッテルを貼ってるわけ? とにかく、50歳以上の女性の人口が、日本の全人口の40%もいると言うのに、「更年期時代」を生きる女性たちが、こんなに口を閉じているのはおかしすぎる。「更年期時代」を過ごしている女性たちは、途切れることなく、昔からいるはずなのに。まるで、どこか知らない国で、ごく一部の人達だけが「更年期」ってやつを通っているくらいにしか感じさせないこの控えめな空気はなに? だれも当時者じゃありませんって顔をして。


中年の女性たちよ、しっかりしてください!オンナを50年もやっているわけだから「更年期オンナ」の方が心も豊かだし、分別も、配慮も、思いやりもあるわけですよ。 要するに、熟女なのです。それを、世の中に分からせないと。そうでもしなきゃ、ずっと、「更年期オンナ」は日陰モンですよ。アタシは、そんなの納得できません。更年期女性よ、声を上げましょう!

 

 

2009.10.5