Chapter 13:自分流イスの張り替え

北フランス・海辺の別荘改装記(13)

四季に合わせて生地や色柄を選ぶ日本の着物はもちろんのこと、学校の制服でも夏服と冬服の衣替えをする日本。日本の家屋は季節の変わり目に、日よけのすだれを冬用に厚地のカーテンに替えたり、畳にカーペットを敷き、扇風機をしまって、コタツやストーブを出すなど、必ず四季の変化にあわせて家の模様替えや衣装替えをする。外国暮らしをしてみると、この日本独特の風習は素晴らしいと思う。

そのせいか日本にいると自然とインテリアでもファッションでも季節を意識する事が出来るのだが、どうも北ヨーロッパの生活では食生活以外で季節感を感じさせられる事は少ない。これはもしかしたら夏でもめまぐるしく変わる気温の変化のせいなのだろうか?北ヨーロッパの家には冷房がある家などほとんどないし、扇風機のある家も珍しい。家の暖房は集中暖房で、ヒーターは壁に備え付けになっていて、常に一定の温度が家中に保たれている。それなので家の中では一年中Tシャツ姿で過ごし、外に出る時には夏でも軽いコートを羽織るという人が沢山いる。

だから北ヨーロッパでインテリアを夏と冬に替える、なんていうヨーロッパ人はあまり見た事がない。そのせいか?私も昔は大好きだった家具の配置替えをする事が少なくなった。

それでも時々家具の模様替えを無性にしたくなる時がある。そんな時には我が家で一番てっ取り早くできる椅子のクッションの張り替えをする。もう20年以上も前に古道具屋で買ったアールデコ調のダイニングチェアーのクッション、このクッション部分を椅子の骨組みから外して気に入った布で包み替える。必要なのは厚地の生地とはさみ、金槌にガンタッカー。6脚の椅子の張り替えはあっという間に一時間ほどで出来てしまう。


今年はもう一つ、粗大ゴミ置き場に捨てられていた北欧調の椅子のカバーも新しく張り替えてみた。こちらはミシンでカバーを縫って、椅子の張替えようの釘で生地を椅子の骨組みに打ち止めをする。以前は体力があったので3人がけのソファーのカバーも私が張替えていたのだけれど、さすがに重労働で最近では手を付けなくなった。住み慣れた我が家の家具の配色が変わると、何となく気分が変わるのは私だけではないようで、主人も久しぶりに絵の掛け替えをしてくれた。ちょっとした模様替えで気分もリフレッシュ!

 

 

2013.11.20