<パリ発>ヴェリブ Vélib' (=Vélos en libre service)〜パリ市営貸し自転車〜
From 雪
今から4年前の2007年7月15日から、パリ市内750ヶ所に7500台の自転車を配置し、パリ市内の自動車数をへらして、空気を清浄化させようというECOブームに乗った貸し自転車制度が始まった。パリ市長ラノエが、パリ・プラージュ(セーヌ・パリ市庁舎河沿岸から流れに沿って東へ3.5kmに砂を敷いて、夏の期間だけ海辺に模した市民の憩いの岸辺にする。今年は10年目)、ニュイ・ブランシュ(=白夜と称して朝迄、パリの美術館が無料解放されたり、公園で夜間芸術パフォーマンスを満喫、9年目)に次いで打ち出した市民サービスだ。今では、2万600台の自転車が1202ヶ所に配置された。
小さなパリ市だから、どこでもちょっとさがせば、この貸し自転車置き場にぶつかる。自転車はどこで借りても、どの置き場にでも返却できるのが良い。セーヌ左岸で借りて、疲れたら右岸の置き場に返して良い。乗る時と返す時にパーキング・メーター式の機械にカードを入れて操作するだけだ。1日24時間賃料が1.7€、乗りだして30分間無料。乗って30分以内に返却すれば,無料という事だ。7日間継続8€(毎回30分間無料)、ネットで1年分カード29€(毎乗車度に30分無料)、と39€(45分間づつ無料)が手に入る。いわば “貸し自転車用キャッシュカード”。パリではどんなに頑丈なロックをしても、自転車は頻繁に盗まれるし、よく電車・地下鉄ストもあり、メンテナンスは市が管理するから貸し自転車制度は大好評。このサービスはパリよりリヨン市が2年早かった。今パリ市内の近接地イル・ド・フランス圏内への配置が始まっている。どこの誰の発案でこの制度が始められたのか、バルセロナ、ウイーン、ロンドン、モントリオールにも同様な制度が定着している。各国がそれぞれの呼称をつけて、車体の色やデザインが各都市にふさわしい工夫をしている。パリでは歴史建造物にも自然にとけ込めるような石の色、ベージュがかったグレー系自転車がVélib'(自転車=Vélo、自由自在=libre)と名付けられて、市民と観光客に親しまれている。
ウイーンの地下鉄駅前にある置き場の自転車はかなりくたびれた様子だったので、「ハハー、この制度は、さてはパリがウイーンの真似をしたのかな?」と思ったのだが、どちらが先なのかは知らない。この国には、知らない他人の物はぞんざいに無責任に取り扱うという、かなり自分勝手な輩が実に多い。幸いパリ市長は街の美化に熱心で、故障して返却されり、泥で汚れた自転車が置き場に放置されないように細心のメンテナンスシステムを軌道に乗せているから、たいしたものだ。サテサテ、自転車は増えたが、車の数は一向に減る様子はない。
2011.8.11