リメイクを楽しむ

布地の手触りや色合い、風合い、織具合・・・布製品のその部分に魅せられてしまう私。だから、布だけを見ているのも好きで、色々ストックしては時々眺め、何を作ろうかと、あれこれ想像して楽しむ。好きなリネンやコットン、シルクの素材に囲まれて暮らす生活は、私の心に安心感と優しさと心地よさをもたらしてくれる。そして、好みの素材の衣類は着なくなっても、そう簡単にサヨナラ出来ないことがある。

リメイク 衣類

先月、衣類の入れ替えでもう何年も着用していないシルクのビッグなセーターに目がとまった。シルクのその柔らかな手触りと光沢、織り模様が気に入っていて、ずっと手放せないでいる。今回こそ処分? そうだ、とりあえず、何か別の物に作り変えてみよう!

 

たっぷり太めの袖を切り落として、本体はロングベストに、切り取った袖の部分をバッグにし、端革(これも買いためていたもの)で持ち手を作り、同じ革で貴重品用の内バッグも。数時間で個性的なペアが出来あがった。その後ジーンズに合わせて何度も着用したので、これで使い飽きたら思い切って処分する勇気も出てくるだろう。

リメイク 衣類

そのついでにわがダンナサマの、相当着込んで袖口や襟が擦り切れてきてしまったdunhillのワイシャツにも手を入れてみた。今まではワイシャツ類はエプロンに変える事が多かったが、このシャツ、目の詰まった織模様の上、肌に触れる感触が素晴らしい。このさらっとしゃきっとした、爽やかな張り感はなかなか近頃お目にかかれない、さすが高級布地! 感激の綿100%素材。これは、半袖にして袖口を少し詰め、襟もハサミで見た目の感覚でジョキジョキと気前よくカット!私のリメイクは「簡単・思い切り」が基本姿勢。手間をかけるのはほどほどにして思いついたらあっという間に出来あがるのが、リメイクの醍醐味と勝手に思いこんでいるところがあるからだ。もしも仕上がりが気に入らなければ、未練を捨てて処分できるところも気楽な点。ストックしてあるレースを、切り取った袖口と首回りにシンプルに縫いつけて、優しいリラックススタイルのロングブラウスになった。この、風が通り抜けるような着心地!がいいのよ、と思わず嬉しくなる。そう、完全に自己満足の世界だ。

 

リメイクって、どんなふうにしようかとあれこれ思い描いて、試行錯誤しつつ、自由に変化させていくその過程を実は一番楽しんでいるのかもしれない。頭の体操?アンチエイジング! 今回のリメイクの勢いに乗り、買い置きの麻布で、面倒で気が重かった3人がけソファカバーも縫い上げ、更に、少し汚れてきた綿の生成りのテーブルクロスは枕カバーに変身させた。

 

ワクワクして布類を広げ、付属品類のストックを眺め、時に思案しつつ夢中になってミシンに張り付いている私を見て、息子「あのさぁ、お母さんのそのミシンって、僕のバイクいじりと一緒だね、それって、道楽だよ!」と言い放つ。「ムダにお金をかけて部品交換したりする事と同じにしないでネ! 不要になったものに新たな命を吹き込む、ecoな実益作業よ!」と反論したものの、そうか「道楽」・・・・ね。道楽とは「道を解して自ら楽しむ」という意味らしい。楽しんで熱中出来るって幸せな事かしら。

 

2012.6.27