映して・映して・映して・・・

おしゃれ 洗面所

いつの間にか家中に増えていった様々な鏡。特別に自分の容姿に自信があるわけでも、ナルシストのつもりもないが、鏡が大好きなのだ。

 

先日テレビの企画で、鏡を覗く時間をこっそりと計ってナルシスト度として比べていたが、そのときはどう見ても美形じゃない男性の方が長いこと鏡に向かっていたのは予想をはるかに超える驚きだった。 その結果をあてはめると・・・・・・いやいや逆は真なりとは言えないはず。

 

我が家の広くもないリビングには大小取り混ぜて6個の鏡が、壁にかけてあったり、チェストの上に立てかけてあったり。「犬も歩けば棒にあたる」ならぬ、「2歩も歩けば鏡に映る」状態だ。廊下から玄関に出るまでには、なんと全身の姿は3回も目にすることになる。

 

この年になると、年齢と共に増えてきたシワや、シミや、重力に逆らえなくなったあちこちのたるみなどなど、マイナス要因にいやがうえにも目が行きがちだが、それは極力気にしない。 とはいえ時には愕然としたりするが、表面だけではなく心の目を見るようにしている。その時の姿を素直に見て、鏡に映る自分にその都度「元気? 大丈夫よ!」と応援していると表現したほうがその心境に近いのかもしれない。

 

そして最後はその鏡の世界に、口の端をきりりと上げてにっこり微笑んで別れをつげる。
一日に何回となくご対面している鏡に映る自分にやさしい愛着が感じられれば、まわりに対しても気持ちよく元気に前向きな気分になれる力が湧いてくる。自分を認める事は自分の心を抱きしめて安定させることになるのだろうか。

 

他にも顔面筋エクササイズ、一人ファッションショーと、映して楽しむ面白い事は山ほどある。さらに最近一番気に入っていることは、角度をつけて映る世界を楽しむということ。たしか小学生の理科の時間に鏡の反射角の実験をしたことがあったと思うが、様々に角度を変えて鏡を覗くとそこには思いがけないものが映りこんでいたなんて経験があるはず。

 

鏡

窓の近くに置いた鏡に映る、切り取られた青空と雲、風に揺れる緑の葉、さーっと黒い影を残す鳥の羽ばたきなどなど、直接目で見るのとは違う何か不思議な鼓動が伝わってくる。

 

壁に掛けた鏡には、見飽きた古い調度品も額に入った写真も実に新鮮で、透明な幕を掛けたように別の世界が映し出されてはっとしたりする。角度をずらしていくといつでも新しい発見があるのだ。

 

一つの方向からだけでなく角度を変えて見てみる事は、いろいろな局面で固い頭になって行きがちな人生を、豊かにしなやかに過ごしていく為の一つのヒントになるのではないかと思っている。もし「鏡なんて見たくない」と無関心になったら老化の始まりだ、と自分に言い聞かせている。まだまだ鏡に映す・映す・映す・・・ことが好きな私でいたい。

 

 

2009.10.1