同性結婚の是非 〜クリスチャン トウビラ(Chritiane Taubira)

かなり満足した熟年
かなり満足した熟年

フランスの現法務大臣は、1952年生まれ61フランス領ギアナ出身の4人の子供の母であるが、離婚している。パリで経済社会学アフロ(アメリカ民俗学)等を修め教職に就いたが、政治活動をするようになり、ギアナ選出議員となった。その髪型や褐色の膚、物怖じしない弁舌は人目をひく。

 

ある作家の出版記念会で私が出会ってからもう3年になる。あの時、彼女は単なる議員という肩書きで、とてもくだけた様子だったが、今は国の法律ひいてはフランス精神の未来を布石する重責を負っている。2013年1月から議論が噴出し、議題への賛成と反対大規模デモが隔週交代で行われたのは、同性結婚に関する論争だ。

 

同性結婚法について所信演説
同性結婚法について所信演説

フランスにはパックス(PACS=連帯民事契約)という同性異性を問わず、共同生活をするカップルへの法的保護が認められていた(1999年成立法)。このパックス法では、結婚する場合より、共同生活の「解消」が簡単にできたので、すぐに定着した法令だった。ところが、例えば、連れ合いが亡くなった場合、残された者への相続や保護は充分でない。そこで、今回の同性「結婚」を認め、養子縁組も認めようという提案だった。デモは男同士、女同士のカップルが手をつなぎ、広場で接吻し合い・・・それをTV報道。片や、風俗の乱れを喚ぶものだと言う保守観点から、またカトリック教会からは子孫は男と女でつくり育てるベき(神の摂理による)、二人のパパ、二人のママだけの家庭で子供は正常な精神発達を遂げられないと法令に反対。対立する「誰にも結婚の平等」対「子供はパパとママが必要」のデモは、法令反対の人々を乗せた貸し切りバスが地方からどんどんパリに集まって来たのだった。(警察発表34万人、主催者発表80万人)

 

フランス市民法について議会で
フランス市民法について議会で

大統領選で公約したこの法令懸案が国民議会に提出され、制定擁護はトウビラ法相の任務。「1970年以降、フランスの家族形態は目覚ましく変化した。現在では第1子の56%が結婚外児で、単親家族や生みの親でない大人と子供が同居する家族が増えている。従来の規範からは外れた環境で育つそうした子供達への差別や偏見は殆どなくなった。同性カップルの元で暮らす子供も、異性カップルと暮らす子供と同じ様に法的保護を提供して、より多くの市民が平等と自由を享受出来る様に」法律を制定したいとの議会演説は多数派与党満場の拍手。

しかし同性結婚反対運動は激しい。前政権、今は野党側に立つ政党の法令制定反対は政治活動だろうから分かるが、私のような市民としても、社会や文化が変革されていく気配を感じる。「健全」という常識設定モードの切り替えが必要。目の前を若い女人がおおっぴらに手をつないで歩いているのを観ても、メトロで男同士が接吻していても、何も感じなくなるのだろうか? 差別でもなく、悪いと言うつもりもないが、私個人としては、なんとなく居心地が良くない気分というのが本音。「人は女に生まれたのではなく、女に成るのだ」というボーヴォワールの言葉もある。同性愛者は好きこのんで苦悩を背負い込んでいるのではない。しかし、、、法制化? カウボーイ米国の「銃」携帯と同じに、収拾がつきかねる事態迄進展しないのを祈るのみ。

同性婚を認めているのは、オランダ、べルギー、カナダ、スペイン、南アフリカ共和国、スウェーデン、アイスランド、ポルトガル、アルゼンチン、デンマーク、ノルウエー等11ヶ国。さて、トウビラ法相はグイアンヌ選出議員として20年間「差別」と戦っている筋金入り政治家。男と女、貧富、植民地主義等、弱き者の待遇改善が彼女の政治テーマだ。

彼女の見かけは10年前とそんなに変わっていない。細かな三つ編みのアフロスタイル髪型がよく似合う。固太りの小柄な身体はエネルギーを感じさせる。60歳にして迎えた、充実した仕事盛りが、彼女を生き生きとさせている。きれいな秘密は仕事の充実。

 

Avène=アヴェンヌの鉱泉水スプレーは、年中重宝しているわ。」

我が家でも、Avèneの軟膏“Cicalfate”は、ちょっとした傷や火傷、ニキビ等、手軽で何にでもよく効くと、皮膚科の医者の助言以来、我が家の常備薬になっている。南仏アヴェンヌ村の温泉水が敏感膚用の化粧品とし世界中に出回り、資生堂が提携している。他にロレアル社傘下のLa-Roche-Posay(ラ ロッシュ ポゼ村=仏西中央地帯)等の、鉱泉水をベースに香料を使わない医薬外化粧品は、膚にトラブルがおきると、かならず医者が薦めてくれる。フランスでは準薬局で取り扱うが、日本ではネット販売が盛んなようだ。

 

 

 

2013.4.3