愛のお土産話

友人がドイツ、スイス、フランスと10日間のツアーから帰ってきました。初夏の各国の田園風景、スイスの山々は極上の美しさだったようです。そのお土産話の中に、一つの愛妻物語がありました。


37名のツアー仲間の中に、81歳という高齢の上品な紳士Sさんが一人で参加されていました。10日間も3食共にしていると、皆の旅の目的がわかります。その高齢の紳士Sさんは、昨年奥様を亡くされました。奥様はお元気な時に今回と同じような行程のツアーに奥様だけで参加され、Sさん本人は都合が付かず一緒に参加することができなかったことはすでに皆の耳に届いていました。Sさんは今回、奥様が感激したと話をしていた各地を辿り、ご自分の目でその風景を追体験したいと思ったようです。

彼のバックの中には奥様の写真が忍ばせてあり、改めて一緒に旅行気分を味わっていたのかも知れません。バスの中で隣に座った友人がたまたま、美しい奥様の写真を見せていただき、車中の皆にも見てもらいましょうということになったそうです。

「これから、Sさんの奥様の写真を回します。くれぐれも大切に扱ってください!」

車中には歓声が上り、大いに盛り上がったそうです。


旅にはたくさんの物語が詰まっているものです。スイスの高級チョコレートでもかなわない、上質のお土産話をいただきました。

 

今回の篆刻は、「楽道」です。楽しい道、楽しい人生、音楽の道・・・色々と感じとれる文字ですが、ポジティブなこの二文字は大好きです。季節を問わず、葉書に捺すことができ、額に飾ることもできます。

お土産に頂いたパリの街角をスケッチした絵葉書に捺してみました。東洋の印とパリの街角、こんなミスマッチもときにはいいかもしれません。

今年の5、6月は肌寒い日が多く、出かけるとき、もう一枚羽織る物が欲しくなりました。そんな時、雑誌に載っていたシンプルなコートが目に留まり、こんなのがあると便利と思いお値段を見ると、少し名の知れたブランド品でお高めでした。でも、このシンプルさなら挑戦してみる価値ありと、楽観主義の私は薄手の麻の生地を調達、袋物や簡単なスカート程度しか作ったことのない私が、手持ちの洋服からヒントをもらい、適当な型紙を作り、早く完成させたくて先へ先へと進みます。

裾の折り返し方が良く分からず、思いつくままに仕上げていきます。笑えるくらい適当に。袖口のスリットも完成してみると大きく開きすぎ、半分に短くしアクセントにボタンを付け、恥ずかしながら初コートの完成です。今になって、色々なものを参考にしてみると裾の折り返し方も正しいやり方がわかりました。それでも、大胆な私はもう何度も着ています。この一枚は助かりました。

 

 

 

2012.7.11