待っている女、へへィへィ!

「今日はいい日だった」と久し振りに思った。休日らしい休日をとっていない毎日で、今朝も家で仕事をして午後には出かけなければいけなかった。それでも植木たちにたっぷりと水やりができたのだ。いつもはざっと水やりをすませたら、さっさと植木たちを元置いてあった場所へと機械的に戻すだけで、部屋の中やベランダの定位置に戻された植木たちを見届ける暇もなく、そそくさと出かけてしまう。今朝は植木たちにいつもよりたっぷりと水をやり、太陽の光をしっかり浴びさせてから元の場所へと戻してやることができ、植木の葉がピンと元気になるのを見届けることができた。

植木

そういう日は「ただいま」と家へ帰ると、いきいきと元気いっぱいの植木たちが私を迎えてくれる。それを見ただけでこちらまで元気になる。植木のお世話をして植木を元気にし、植木の元気が私に返ってくる、といういい循環になるのだ。南向きのベランダは日がよく当たり、真冬でも二日に一回、真夏には一日二回の水やりが必要だ。ほんの一泊の旅行に出かけただけで危うく枯れさせてしまいそうになったり、慌ててうごかした拍子に、何本もの茎を折ってしまったりと失敗もいろいろとしてきた。一人で朝の忙しい時間を植木の水やりに奮闘する私を見た友人に「今は植木の世話などやめたら」と言われたことがある。その時「やめない」と私は即答した。忙しい毎日だからこそ、私には植木の世話が必要なのだ。どんなに忙しくても朝、植木たちに水やりをして出かけ、植木たちの様子を気にとめる毎日が私を元気にしてくれる。たかが小さな鉢植えの植木たちではあるが、家に生き物一つあるとないでは大違いだ。

 

犬や猫とのふれあいは脳と心の活性化に繋がるとアニマルセラピーが盛んに行われ、ペットを飼う人が異常に多くなっているが、本当にペットに幸せな暮らしをさせてやれる人は、その何割なのかと疑問を持ってしまう。今はペットを飼う余裕は私には残念ながらない。ペットが飼えないからせめて植木でも、と思ったこともあったが、植木からの癒し効果はペットからの癒し効果とはまた違って、静かな癒しとでも言おうか、穏やかで一定の効果があるのではないかと思うのです。

 

私は気が長い方なのか、諦めが悪いのか、貰い物のウツギの葉が全て落ちて丸坊主の枝だけになった時も、水をやり続けていたら若芽が出てきたり、留守をして全滅か?と思いながらもアイビーの枯れた蔓と葉を刈り込んで鉢ごと水に浸けてみたり水をじゃんじゃんやっていたら、小さな葉が出てきたり、全ての茎を折ってしまったベゴニアもカラカラに干からびさせてしまったスペアミントも「元気になあれ、元気になあれ!」と心の中で念じながら、ときには声に出しながら、水をやり続けていると、ある日小さな葉が育っていることに気づくのだ。その時の喜びはなんとも言えない。それが忘れられないから、何があっても私は諦めずにひたすら水やりをしながら待ち続ける、待っている女なのだ。

小さな植木鉢の中で新しい命が芽吹いたときや、みずみずしくピンとはった蔓や葉を見ているだけでこちらの肌までピンとはってくるような気がする。我が家の植木たちと同じように数々のダメージを受けている私の肌も、ビタミンCとカテキンたっぷりの緑茶をじゃんじゃん飲み、信頼できる化粧水や美容液をお風呂上がりにしっかりと手のひらでギューッと押し込みながら「元気になあれ、元気になあれ!」と念じてつけ、カラダの内外からひたすら水分補給をして、待っていれば必ず答えてくれるハズなのです。

 

 

2011.4.19