オトナの和菓子

麩まんじゅう

ある暑い日の午後、友人がお茶菓子を持って遊びにきてくれた。「麩まんじゅうだから、冷蔵庫に入れさせてね」といわれ、小踊りして冷蔵庫に麩まんじゅうを入れ、冷茶の用意をした。

 

生麩というものに出会ったのはいつ頃だったのだろう・・・。よくは覚えていないのだが、たぶん食通の先輩に連れられて行った精進料理屋さんで食べたのが最初だったと思う。お餅とも違う独特の噛みごこちで、初めての食感だった。しいて近いものをあげるならば、ちくわ麩くらいか。いや、ちくわ麩には失礼だが、一緒にしてはいけない。生麩には他の食品にない品格がそなわっている。

 

一口食べた時から私の好物になったのだが、その後に生麩で作られた「麩まんじゅう」を食べたら、これがまた美味しくて私の大好物になった。

 

生麩は京都の禅寺で僧達が作り出した精進料理にはかかせない植物性たんぱく質の食品。生麩のタンパク質は生グルテンというそうだが、この「グルテン」ということばは、子供のころから母や叔母に「グルテンは植物性タンパク質だから身体に良い」と聞かされていたので、私の頭にしっかりとインプットされていて妙に懐かしい。昔の大人の女性にはきちんとした食生活の知識がそなわっていて、家族の健康を気づかって料理の手間を惜しまなかった。古き良き時代でしたね。

 

その生グルテンと米粉をうまい具合にあわせて作ると、ツルッとなめらかでコシがあって独特の歯切れの生麩になるそうだ。「麩まんじゅう」はその魅力的な食感の生麩の中に、さらりとして上品なこし餡が入っているのだから、もうたまりません。

 

美容面からいっても、消化の良い良質のたんぱく質である生麩とデトックス効果の高いあずきで作った餡のコラボレーションなのだから申し分ない。「麩まんじゅう」はオトナの女性にぴったりの、お上品でヘルシーな和菓子だと思います。よく冷やして、ごゆるりと召し上がれ!

 

 

2009.8.26