パリのショコラティエに学べる、パリのチョコレートレシピ帖

ある日、駅ビルの本屋さんで用事をすませた私は、何気なく売り場を見渡しながら出口へと向かっていた。 すると、どこか懐かしい雰囲気の装丁のケーキの本が目を引き、私はその本を手に取った。

ケーキの本かと思ったその本は「パリのチョコレートレシピ帖」というチョコレートのレシピ本だった。最近、お菓子作りの本など全く興味の無い私が、チョコレートのレシピ本を手に取ったのだ。それは多分、表紙の円盤のような形をした、不思議な存在感のあるチョコレートケーキのせいだろう。

あまりにも素っ気なく見えるこのケーキが、表紙を飾るには理由があるはず。と思った私は、このケーキのページを開かずにはられなかった。

私の予感は的中し、ただのチョコレートケーキに見えた「モガドール」はココア生地のスポンジに、たっぷりのキイチゴ、その上にダークチョコのムースをのせ、更にその上をキイチゴで飾った、シンプルかつ贅沢なアントルメ(生ケーキ)だった。

そして、そこに書かれた「キイチゴとチョコとの相性のよさにふるえます」という素敵なコメントは、全くケーキ作りに縁の無い私に、近い将来絶対作りたいと思わせるものだった。

パラパラとページをめくっていくと、他にも興味深いレシピが色々あった。

バゲットに板チョコをのせて焼き、塩とオリーブ油をたらした「パリジャンに習ったチョコサンド」を作ってみたが、これがワインとよく合い、通常は1杯で止めるところを、2杯飲んでしまった。時間を忘れて、お菓子作りに没頭した。

コショウやクミン入りのボンボンショコラも作ってみたいし、ピンクペッパーだけを飾りに散らした、ごくシンプルなチョコレートパフェも、ぜひ作って食べてみたい。

さりげなくまとめられたページの中に、キラリと光る魅力があちらこちらに隠されていた。

そして、自分がパリに行ってもなかなかできないような、わくわくする、チョコレートを通した体験が、惜しげなく綴られている。

チョコレートを作ってみたい人も、作りたくない人も、読んだだけで「うふふ!」っとしあわせを感じてしまう、そんな「パリのチョコレートレシピ帖」多田千香子著、久しぶりに購入してしまいました。 みなさんにもお勧めです。

 

 

2014.9.1